職場で起きるハラスメントにはいくつもの種類があります。
最近はSNS利用者間に起きる嫌がらせ「ソーシャルハラスメント」に悩む人も少なくありません。
SNSの中でも利用者数の多いLINE(ライン)は、職場使用しているケースも多くパワハラやセクハラなど各種ハラスメントが発生するきっかけにもなりえます。
就業時間外にくる上司や先輩からのLINE通知にビクついている人もいるのではないでしょうか?
また、知らず知らずのうちに自分が加害者になっている可能性もありますので、どんな行為がNGなのかをしっかりチェックしていきましょう。
本日は、LINEの業務使用で起きるハラスメントの基準と”しない対策”、”させない対策”についてご紹介します。
どんな行為がLINEハラスメント・ソーシャルハラスメントにあたるの?
厚生労働省のホームページでは、以下のような行動が職場のパワーハラスメントの行為として挙げられています。
(1)身体的な攻撃(暴行・傷害)
(2)精神的な攻撃(脅迫・暴言等)
(3)人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
(4)過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)
(5)過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)
(6)個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)
(1)以外は、LINEのやり取りでも起こり得る可能性がありますよね。
LINEはいつでもどこでも簡単にコミュニケーションがとれる便利なツールです。
でも、その便利さ故にパワハラが横行してしまうのです。
- いつでも連絡できる
- 電話やメールより連絡しやすい
- 相手が読んだか確認できる
などの気軽さがハラスメントを引き起こす原因となってしまいます。
では、どんなやり取りがパワハラになるのか見ていきましょう。
LINEでの叱責
メールと異なりLINEはポンポンと会話のようなやり取りができることが最も便利な点です。
でも、その分言葉の選択には注意が必要です。
思ったことを勢いで入力してしまうと、キツイ表現となってしまうことがあります。
もちろん、誹謗中傷や相手の人格を否定するようなことを書くつもりはないかもしれません。
でも、対面での会話に比べ文章でのやり取りは、言葉のニュアンスが伝わらないため「冷たい印象」を受けやすいのです。
そんな冷たい言葉によるやり取りが頻繁に続くと、相手に大きなストレスを与えてしまう可能性があります。
業務に関する会話をしているのであれば尚更!𠮟責はもってのほかです。
ダメだしやちょっとした指摘など、送信側は「注意してねー!」くらいの気持ちだったとしても、受信側はそうは感じていないかもしれません。
間違った言葉の選択が繰り返し行われることが、パワハラになるかもしれません。
即レスハラスメント
相手の既読状態がわかるLINEは、読んだらすぐに返信しなければいけないとプレッシャーを感じる人もいます。
それは、上司や先輩からのメッセージであれば尚更です。
さらに、部下や後輩に「自分のラインには即レスしなさい」と強要する上司や職場もあると言います。
勤務時間外の返信の無理強いであれば、パワハラと言われてもしょうがありません。
プライベートなやり取り
業務に関係のないプライベートな内容のLINEは注意が必要です。
業務についてのやり取りの中で、軽くプライベートに触れる内容が飛び交うことはあるかもしれません。
でも、根掘り葉掘り聞くなど、私的なことに過度に立ち入ることNGです。
- 家族のこと
- 彼氏や彼女のこと
- 趣味
- 家での過ごし方
- 食事などプライベートのお誘い
など、聞かれたくないことを無理に聞いきたり、断りにくいお誘いをしてくる行為によって受ける精神的な苦痛は計り知れません。
いずれも、相手が不快に感じればパワハラ・セクハラとなる可能性があります。
LINEでのセクハラ
LINEでのちょっとした雑談のつもりで入れたメッセージがセクハラにあたるケースもあります。
- 髪型・メイク変えた?
- 今日の服似合ってたね?
- 今度飲み・食事にいかない?
などの外見に関するメッセージはもちろん、下心がなくても食事のお誘いはNGです。
その他、ハートなどの不要な絵文字、誤解を招くスタンプの使用も、セクハラになる可能性があります。
相手に「気持ちわるっ!」と思われたら即アウトと考え、業務以外の文章は基本的に控えた方がいいでしょう。
勤務時間外のLINE
勤務時間外のLINEのやり取りには二つの問題があります。
- メッセージをだす時間帯の問題
- 就業時間外に業務のやり取りが発生している問題
です。
早朝や深夜はNG
「急遽共有しなければいけない連絡事項」があるとき、業務時間外であってもLINEで知らせることはあると思います。
次の就業開始時では間に合わないケースです。
もしあなただったら、上司や先輩から深夜・早朝にLINEで連絡がきたらどう思いますか?
連絡手段が電話だったら、そんな時間帯はもちろん避けますよね?
でも、ラインあれば時間帯は何も気にせずメッセージを送ってしまう人が多いのです。
送信元は職場の人。上司や先輩からきたメッセージであれば、
- LINEを確認する
- 返事をする
- 何度かやり取りを繰り返す
と、ゆっくり休んでいるはずの時間帯にやり取りをせざるを得ない状況となります。
送る側は「忘れないうちに送っておこう」と気軽な気持ちでラインを入れているのでしょう。
でも、部下や後輩にしてみれば迷惑でありストレスになるのは考えればわかることです。
もちろん、たまたま深夜や早朝のLINEとなってしまった。
というのであればハラスメントとまでは言えないでしょう。
でも、深夜や早朝のメッセージが繰り返したり送られたり、返信を強要すれば、ハラスメントと言われてもしょうがありません。
業務時間外の業務の強制
SNSを仕事で使用していなかった時代には、就業時間外に仕事のメールをチェックするのはごく一部の人だったのではないでしょうか?
それは、
- セキュリティ上の問題で個人スマホや携帯で会社のメールをチェックできない
- 休日に業務メール自体あまりこない
などの理由があったからです。
でも、LINEではそれらの制限がなくなる傾向があります。
- 就業時間外でも簡単にメッセージがだせる
- 会社にいなくてもメッセージのやり取りができる
と会社外でのやり取りの敷居が低い状態となってしまいます。
その分、報告や指示、お願いごとなど、なんでも気楽にLINEでできてしまうことがパワハラを生んでしまう状況を作ります。
深夜や早朝でなくても、プライベート時間に業務のLINEが頻繁にくる、長文でのやり取りなど、時間外労働と言えるレベルであれば、送信側のパワハラと言われてもしょうがないでしょう。
グループ機能の使い方がNG
ラインのグループ機能は業務使用ではとても便利ですよね。
一斉にグループメンバー全員に情報周知できますし、全員が発言できる環境がスマホ一つで整います。
でもグループ機能の使い方を間違うとパワハラが起きてしまう可能性があります。
- 特定の人を必要なグループに招待しない
- 特定の人のメッセージに全員が無反応
- グループ内で個人を叱責する
など、ライン内での侮辱や仲間外し、無視などが起きる可能性があります。
𠮟責に関しては、吊し上げのような状態になり、わかりやすいパワハラと言えます。
LINEハラスメントをしない対策
LINEの使い方は人それぞれです。
自分のLINEの頻度や文章内容、文章の長さ、スタンプなどの使い方が必ずしも常識であるとは限りませんので、自分が加害者にならないよう意識することが大切です。
相手が不快に思いストレスを感じれば、それはハラスメントとなる可能性があります。
SNSによる発言の危険性をしっかり理解してLINEを使用しましょう。
- 慎重に発言する
- LINEで叱らない
- 即レスを強制しない
- 送信時間に配慮する
- プライベートな会話をしない
- 酔っている時にLINEをしない
など十分に注意しましょう。
LINEハラスメントをさせない対策
LINEハラスメントの被害者にならないための対策も見ていきましょう。
LINEの業務使用を断る
可能であれば、LINEではなくメールでのやり取りに変えてもらいましょう。
- LINEをあまりチェックしない
- LINEが苦手
- 彼氏・彼女・家族がLINEをこっそりチェックしているみたいなので
など、適当な理由をつけて断りましょう。
返信を工夫する
- すぐに返信しない
- 就業時間外は未読スルーする
- プライベートな内容には流し気味で返答する
など、即対応することは控え、会話が続かないよう工夫しましょう。
勤務時間外はチェックしないと言う
勤務時間外の業務のLINEはチェックしませんと、言っておきましょう。
加えて、緊急時は電話での連絡をお願いしましょう。
ラインの業務使用のルール化を提案する
みんなが気持ちよくやり取りをするための、業務使用LINEのルール化を上司や然るべき立場の人に提案しましょう。
信頼できる人に相談する
職場に信頼できる人がいれば、思い切って相談してみましょう。
会社に相談する
LINEの業務使用によって、ハラスメントを受けていると感じているのであれば、まずはログの保存やスクショを撮るなどしてその会話を証拠として保存しておきましょう。
次に、会社の窓口に相談しましょう。
会社の窓口に相談するのは正直ハードルが高いと思います。
でも、個人での解決がムリな場合や精神的に厳しい状況であれば、会社を信じて頼るのも一つの選択です。
企業が取り入れるべきソーシャルハラスメント対策
企業側が取り入れるべき対策についてもふれておきます。
自分で変えられる立場や進言できる立場の方は、LINEの業務使用についてしっかり考え対策を取り入れてくださいね。
ビジネス用SNSの導入
LINEハラスメントが起きる理由の一つに、会社管理ではないという問題点があります。
会社側でビジネス利用のチャットやSNSを導入することで解決できるケースが多いということです。
「会話ログを保存できるシステム」のSNSを導入することで、行き過ぎたやり取りを防ぐことができます。
ログが取られていれば、業務以外の内容を送ることにためらいがでますので、ハラスメントの抑止力になりますよね。
ルールを作り教育する
LINEを業務使用するのであれば、明確なルールが必要です。
ルール決めをし、就業者全員に研修を行いましょう。
- 業務時間外の利用は緊急時のみに
- 深夜・早朝などの送信を控える
- 業務時間外は基本確認・返信しなくてOKとする
- プライベートな内容は控える
- LINEで叱らない、責めない
- スタンプを多用しない
など、それぞれの会社や職場に合ったルール作りをし運用するのが望ましいでしょう。
まとめ
職場でおきるLINEハラスメントの基準としない対策、されない対策についてご紹介しました。
LINEハラスメントか否かは、
- 苦痛を感じているか?
- 就業時間外のLINEか?
- 業務内容以外のLINEか?
- 人格を否定されているか?
- みんなの前で叱責されたか?
などが基準となります。
相手のLINE、自分のLINEの内容が該当していないかチェックしてみましょう。
LINEハラスメントはソーシャルハラスメントの一つです。
SNSはLINEだけではありませんよね。
twitterやインスタ、Facebookなど他のSNSで職場の人と繋がっている方も多くいると思います。
「いいね」を強要したり、いちいちコメントを付けることもソーハラに該当するケースもありますので、職場の人とSNS交換には十分に注意が必要です。
相手がイヤだと思ったらそれはもうハラスメントと言われる可能性があるのです。
「そんなことで?」「これくらい平気でしょ」と思うことがハラスメントを起こす原因ともなりますので、軽んじることなくしっかり向き合っていきましょう。